2026年9月12日、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2026」が千葉市蘇我スポーツ公園で開幕した。
今年は9月12・13日、19・20・21日の5日間開催。
4ステージに1日23組、計115組が出演する。
チケットは6月26日の第3次抽選先行の結果発表をもって、5日間すべてがソールドアウトとなった。
2025年から開催時期を8月から9月へ移し、今年が2年目となる。
名前は「ROCK IN JAPAN」。
ところが2026年の出演者を見ると、一般にイメージされる「ロックフェス」より、はるかに守備範囲が広い。
BUMP OF CHICKEN、[Alexandros]、10-FEET、UVERworld、マキシマム ザ ホルモンといったバンドがいる。
その一方で、Ado、Creepy Nuts、Awich、XG、JO1、Number_i、NiziU、HANA、FRUITS ZIPPER、櫻坂46、INI、ももいろクローバーZ、星街すいせいまでいる。
ロック、ヒップホップ、アイドル、ダンス&ボーカル、バーチャルアーティストまでが、同じ5日間に並ぶ。
では、ROCK IN JAPANは途中から「何でもあり」のフェスになったのだろうか。
過去を遡っていくと、少し違う姿が見えてくる。
第1回からZEEBRAとラッパ我リヤがいた
ROCK IN JAPAN FESTIVALが始まったのは2000年。
会場は茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園だった。
第1回は8月12・13日の2日間開催。
2日間で6万490人を動員した。
2日目は台風による悪天候で途中終了している。
興味深いのは、その第1回のラインナップだ。
初日にはAIR、HUSKING BEE、くるり、SHERBETS、エレファントカシマシ、Dragon Ash。
ここまでは「ロックフェス」という名前から、それほど違和感はない。
しかし、そこにSugar Soul、ZEEBRA、ラッパ我リヤがいる。
翌日はNUMBER GIRL、KING BROTHERS、奥田民生、スピッツ、THE YELLOW MONKEY、AJICO、中村一義だった。
つまり、「ロックバンドだけを集める」というフェスでは、最初からなかった。
翌2001年になると、BUMP OF CHICKEN、Dragon Ash、RIP SLYME、佐野元春、Mr.Childrenなどに加えて、THE JON SPENCER BLUES EXPLOSION、JJ72という海外勢まで出演している。
その後もKICK THE CAN CREW、ケツメイシ、平井堅、RIP SLYMEなど、いわゆるロックバンド以外のアーティストが普通にラインナップへ入っていった。
2019年、主催側自身もROCK IN JAPANについて、2000年の初開催時からロックバンドだけではなく、さまざまなスタイルの表現者が集まってきたフェスだったと振り返っている。
2026年になって突然、ロック以外を受け入れ始めたわけではない。
その幅広さは、最初からROCK IN JAPANの中にあった。
昔は「ジャンル」だけでなく「世代」も広かった
ただし、2000年と2026年がまったく同じというわけでもない。
初期のラインナップを見ていくと、現在とは少し違う特徴がある。
ジャンルが横に広いだけではなく、世代も縦に広い。
2003年にはTHE STREET SLIDERSのHARRY。
2005年には坂本龍一とサザンオールスターズ。
2006年には矢沢永吉。
2009年には再び矢沢永吉に加え、泉谷しげるや岡林信康まで登場している。
若いバンドやヒップホップ勢と、日本のロック、ポップスをその前から作ってきた世代が、同じフェスの中にかなり自然に並んでいた。
その一方、2010年代になると、横方向への広がりがさらに大きくなる。
Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅ、でんぱ組.inc、ももいろクローバーZ、欅坂46、モーニング娘。など、従来の「ロックフェス」という言葉だけでは説明しにくいアーティストが次々と出演するようになった。
2018年を見ると、その性格が分かりやすい。
同じフェスにサザンオールスターズ、JUN SKY WALKER(S)、モーニング娘。’18、私立恵比寿中学、アンジュルム、ちゃんみなまでいる。
「ロックか、ロックではないか」という分類だけで、このフェスを理解するのは難しくなっていった。
2024年、『ROCKIN’ON JAPAN』はROCK IN JAPANを、バンド、チャート上位のポップアクト、ネット・ボカロ、ラッパー、アイドル、K-POPまで含む「多様化した音楽シーンを丸ごと楽しめる」フェスと表現している。
これは現在のROCK IN JAPANをかなり正確に表している。
では、なぜ「ROCK」という名前を掲げながら、ここまで守備範囲を広げられるのだろうか。
ここから先は、フェスだけを見ていても分かりにくい。
ルーツは『ROCKIN’ON JAPAN』、さらに1972年まで遡る
ROCK IN JAPANの名前のルーツにあるのが、邦楽誌『ROCKIN’ON JAPAN』だ。
1986年創刊。
初代編集長は渋谷陽一で、創刊号の表紙には佐野元春が起用された。
だが、現在のROCK IN JAPANを考えるなら、さらに14年遡った方がいい。
1972年。
20歳だった渋谷陽一が、洋楽ロック批評・投稿誌『rockin’on』を創刊した。
現在の巨大な音楽メディアとは、ずいぶん違う出発点だった。
創刊当初の『rockin’on』は、一般の読者から文章を募る投稿誌だった。
渋谷は創刊宣言で「読者すなわち参加者」という雑誌を掲げている。
単なるレコードの感想ではない。
自分自身を語り、同時にロックを語る文章を載せていく。
音楽を聴く側が、雑誌を作る側でもあった。
これは、その後のロッキング・オンを理解するうえで重要な考え方になる。
2025年に渋谷陽一が亡くなった際、長年ともに仕事をしてきた山崎洋一郎は、その根底にあった思想を「ロックは聴く者の中にある」と説明した。
そして、その思想は『ROCKIN’ON JAPAN』や他の雑誌だけでなく、ROCK IN JAPAN、COUNTDOWN JAPAN、JAPAN JAMにも受け継がれてきたと書いている。
ここまで遡ると、「ROCK」という言葉が少し違って見えてくる。
少なくともロッキング・オンにとって、ロックはギター、ベース、ドラムという編成だけを示す言葉ではなかった。
『ROCKIN’ON JAPAN』も、バンドだけを追ってきた雑誌ではない
雑誌『ROCKIN’ON JAPAN』も、邦楽ロックバンドだけを掲載する雑誌ではなかった。
山崎洋一郎が創刊30周年を前に振り返った文章では、フリッパーズ・ギター、ニューエスト・モデル、X、BUCK-TICKなどを扱い、その後、小沢健二、Cornelius、電気グルーヴ、ORIGINAL LOVE、スチャダラパーなどへも対象を広げていったことが語られている。
山崎は『JAPAN』を「わがままな音楽雑誌」とも表現している。
つまり、その時代に売れている邦楽を無差別に並べるのではない。
何を取り上げるのかを編集部が選び、その音楽をどう見るのかを提示する。
それが『ROCKIN’ON JAPAN』という雑誌だった。
その姿勢は現在にも残っている。
2026年、『ROCKIN’ON JAPAN』は星街すいせいを10ページにわたって初めて本格的に取り上げた。
編集部は、バーチャルアイドルだから取り上げるのではないとしたうえで、星街すいせいの音楽には「明らかにロック的なもの」があるとして、正面からインタビューした理由を説明している。
そして、その星街すいせいは2026年9月19日のROCK IN JAPAN FESTIVALにも出演する。
1986年の『ROCKIN’ON JAPAN』創刊から40年。
当時は存在すらしていなかったバーチャルアイドルが、雑誌で「ロック的」と評され、その年のROCK IN JAPANのステージにも立つ。
現在のロッキング・オンが考える「ROCK」の広さを象徴する出来事の一つだろう。
雑誌を作ることと、フェスを作ること
そして、雑誌とフェスの関係は、単に歴史や名前だけではない。
現在Jフェスを統括する海津亮は2025年のインタビューで、渋谷陽一がフェスについて「フェスはメディア」とよく語っていたことを明かしている。
アーティストを選び、タイムテーブルを組み、一日を構成する。
それは雑誌で何を掲載し、どうページを並べるのかを考える作業によく似ている。
さらに現在、フェスのアーティストブッキングを担う中心メンバーも、『ROCKIN’ON JAPAN』編集部の若いスタッフへ意識的に移しているという。
海津は、メディア部門をロッキング・オンという組織の「目」と位置づけ、そこで音楽シーンを見ながら、フェスの出演者構成にも反映させていると説明している。
これは最近始まったことでもない。
『ROCKIN’ON JAPAN』編集長を務めた小栁大輔も、編集作業と並行してフェスの出演オファーや条件交渉を担当し、多い時には一つのフェスで約100組を担当していたと語っている。
つまりROCK IN JAPANのラインナップは、単なる人気ランキングではない。
雑誌と同じように、
「今の日本の音楽シーンから、何を選び、どう並べるのか」
という編集作業でもある。
2026年にBUMP OF CHICKENとNumber_i、Creepy NutsとFRUITS ZIPPER、Adoと10-FEET、星街すいせいとKANA-BOONが同じポスターに並ぶ背景には、そうした考え方がある。
会場も変わり、開催時期も変わった
ROCK IN JAPANは、音楽の範囲だけでなく、フェスそのものの形も変えてきた。
2000年から国営ひたち海浜公園で開催されてきたが、2022年に千葉市蘇我スポーツ公園へ移転した。
直接の契機となったのはコロナ禍だった。
渋谷陽一は当時、ひたちなかでは7万人規模の巨大ステージと、それより小さな複数ステージとの間に大規模な人流が生まれ、感染対策をしながら開催を続けるのは難しいと説明した。
一方、蘇我では巨大なライブエリアに2ステージずつを設置でき、ステージ間の移動も大幅に減らせる。
フェスを存続させるための会場変更だった。
そして2025年、さらに大きな変更が行われた。
8月開催から、9月のシルバーウィークへ。
理由は近年の気候変動と猛暑だ。
主催側は、ROCK IN JAPANが1日6万人規模の大型フェスであることに加え、出演アーティストの構成が多様で、フェスに慣れていない初参加者も多いことを挙げ、熱中症リスクを考慮して開催時期を変更したと説明している。
2025年は5日間で30万人を動員。
そして2026年も9月開催を継続し、5日間すべてがソールドアウトした。
ROCK IN JAPANは、ラインナップだけではなく、会場も、ステージ構成も、開催時期も変えてきた。
一つの形を守ることより、フェスを続けるために形そのものを変えてきたとも言える。
ROCK IN JAPANの「ROCK」は、ジャンル名だけではない
こうして歴史を遡ると、ROCK IN JAPANを「昔はロックフェスだったが、最近になって何でもありになった」と説明するのは正確ではない。
第1回からZEEBRAとラッパ我リヤがいた。
その後もポップス、ヒップホップ、アイドル、ネット発の音楽、ダンス&ボーカルなど、その時代に生まれた表現を取り込んできた。
さらにそのルーツにある『ROCKIN’ON JAPAN』、そして1972年の『rockin’on』まで戻ると、その幅の広さは偶然ではなかったことが見えてくる。
ロッキング・オンは、音楽を「誰がロックで、誰がロックではないか」と分類するだけのメディアとして始まったわけではない。
音楽をどう受け取り、何をそこに見るのか。
そして、その時代の音楽から何を選び、どう並べるのか。
渋谷陽一は、フェスを「メディア」と考えていた。
現在のROCK IN JAPANも、その延長線上にある。
2000年と2026年では、出演者も観客も、音楽を取り巻く環境も大きく違う。
それでも「その時代の音楽を、自分たちの視点で選び、一つの場所に並べる」という考え方は続いている。
ROCK IN JAPAN FESTIVALの「ROCK」は、出演資格を示す狭いジャンル名というより、ロッキング・オンが半世紀以上使い続けてきた、一つの価値観の名前なのかもしれない。
2026年の115組は、その現在地をそのまま映している。
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2026 出演アーティスト
2026年は9月12・13・19・20・21日の5日間、各日23組、計115組が出演する。
9月12日(土)
アイナ・ジ・エンド
Awich
XG
おいしくるメロンパン
Creepy Nuts
go!go!vanillas
コレサワ
Saucy Dog
サンボマスター
JO1
SKRYU
Chilli Beans.
This is LAST
トゲナシトゲアリ
なとり
Vaundy
PEOPLE 1
04 Limited Sazabys
FOMARE
plenty
My Hair is Bad
Maki
LANA
9月13日(日)
IMP.
[Alexandros]
Age Factory
OddRe:
KUZIRA
Cloudy
クリープハイプ
サバシスター
湘南乃風
Da-iCE
日食なつこ
猫背のネイビーセゾン
NELKE
ハルカミライ
BUMP OF CHICKEN
FRUITS ZIPPER
ポルカドットスティングレイ
マカロニえんぴつ
宮本浩次
MONGOL800
『ユイカ』
優里
Laughing Hick
9月19日(土)
iLiFE!
秋山黄色
=LOVE
KANA-BOON
CUTIE STREET
Chevon
jo0ji
シンガーズハイ
ずっと真夜中でいいのに。
CHiCO with HoneyWorks
超特急
DISH//
Number_i
NEE
ねぐせ。
Novelbright
NOMELON NOLEMON
ハンブレッダーズ
星街すいせい
マルシィ
muque
yama
ヤングスキニー
9月20日(日)
あいみょん
Ayumu Imazu
indigo la End
UVERworld
きゃりーぱみゅぱみゅ
CORTIS
四星球
sumika
超ときめき♡宣伝部
DXTEEN
東京スカパラダイスオーケストラ
NiziU
HANA
Hump Back
平井 大
FUNKY MONKEY BΛBY’S
ブランデー戦記
BLUE ENCOUNT
フレデリック
M!LK
MON7A
レトロリロン
レミオロメン
9月21日(月・祝)
INI
Ado
ano
アンジュルム
UNFAIR RULE
CANDY TUNE
CLAN QUEEN
櫻坂46
SiM
SHANK
syudou
女王蜂
すりぃ
10-FEET
ファントムシータ
Fear, and Loathing in Las Vegas
Paledusk
MAZZEL
マキシマム ザ ホルモン
ももいろクローバーZ
ヤバイTシャツ屋さん
礼賛
WANIMA
このほか、DJ和が全5日間でクロージングDJを担当。
「ROAD TO ROCK IN JAPAN FES.CHIBA 2026」を勝ち抜いたWorryHeart、東京タブレッツ娘、Yuva、Mrs.シラストームもオープニングアクトとして出演する。


