2026年上半期、日本で外国人が設立したとみられる法人は4731社だった。
前年同期の9851社から52%減。過去5年間で最も少ない。
2025年まで外国人による起業は増えていた。2024年は約1万7000社、2025年は約2万社。制度改正直前の2025年9月には、1カ月だけで約3500社が設立された。前年同月の約1300社から2.6倍に膨らんでいる。
流れが変わったのは、2025年10月16日だった。
資本金500万円から3000万円へ
外国人が日本で会社を経営する際に使われる在留資格「経営・管理」の許可基準が大幅に変わった。
法人の場合、必要な資本金・出資額は500万円以上から3000万円以上へ6倍になった。
常勤職員1人以上の雇用も必要になった。経営者または常勤職員には日本語教育の参照枠B2相当の日本語能力が求められ、申請者本人にも、経営・管理などに関する修士相当以上の学位か、3年以上の経営・管理経験が必要になった。
従来は「500万円以上の資本金」または一定数の常勤職員という基準だった。新制度では3000万円の資本金等と常勤職員の雇用を両方求める。小規模な起業にとっては、かなり高い条件になった。
政府側は制度見直しの背景として、移住手段として悪用されているとの指摘や、在留審査で事業実態がないと判明する事案があったことを挙げている。2025年10月の法務大臣会見でも「事業の実態がないと判明する事案が散見される」と説明している。
ビザの新規申請は96%減
変化は法人設立よりも先に、在留資格の申請に表れた。
「経営・管理」の在留資格認定証明書交付申請は、制度改正前には月平均約1700件あった。
改正後は約70件。
減少率は約96%だった。2026年4月の国会審議でも、出入国在留管理庁がこの数字を明らかにしている。
1700件から70件。
新たに海外から日本へ入り、経営者として事業を始めようとする動きは、制度改正を境に大きく縮んだ。
法人設立の52%減と、ビザ申請の96%減は別の数字だ。
外国人による法人設立には、永住者や日本人の配偶者など「経営・管理」の在留資格を必要としない人も含まれる。「外国人の起業そのものが96%減った」という意味ではない。
改正後は月800社前後
外国人による法人設立は、2022年1月から2025年9月まで月平均約1400社だった。
改正後の2025年11月から2026年3月は約800社。
2026年1~3月も約2400社で、前年同期の約4600社からほぼ半減した。
今回発表された2026年上半期は4731社。月平均では約789社になる。
制度改正後、月800社前後のペースが続いている。
2026年下半期も同じペースなら、
4731社 × 2 = 9462社
となる。
OAKS DAILYの単純試算では、2026年通年の外国人による法人設立は9000~1万社前後になる。
2025年の約2万社からは半減。駆け込み設立の影響が小さい2024年の約1万7000社と比べても、4割以上少ない。
申請者側が新制度への対応を進めれば、今後再び増える可能性はある。年間9462社は上半期のペースをそのまま延長した数字で、予測値ではなく単純試算だ。
次は4万6781人
新しく日本へ来る経営者だけの話ではない。
2025年末時点で「経営・管理」の在留資格を持つ外国人は4万6781人いる。2020年末の2万7235人から約1.7倍に増えた。
この既存経営者には経過措置が設けられている。
2028年10月16日までの在留期間更新では、新しい基準を満たしていないことだけを理由に不許可にはならない。経営状況や、新基準を満たす見込みなども含めて審査される。
2028年10月16日を過ぎても、資本金3000万円未満なら一律に帰国という制度でもない。
出入国在留管理庁は、経営状態が良好で、法人税などを適切に納付し、次回更新までに新基準を満たす見込みがある場合には、その他の在留状況も含めて判断するとしている。
それでも3000万円への増資だけが条件ではない。常勤職員の雇用、日本語能力、経営経験なども審査対象になる。
外国人経営者299社を対象にした東京商工リサーチの調査では、54.8%が「大きな変化はなかった」と回答した。
27.4%は増員などで新基準に対応すると答えたが、11.7%は事業売却や合併、6.3%は日本人や永住資格を持つ人への経営権移譲、5.3%は廃業を検討している。複数回答による調査だ。
すでに出国者数にも変化が出ている。
2026年上半期、「経営・管理」の在留資格を持ちながら再入国許可を得ずに出国した人は953人。前年同期は246人で、約3.9倍になった。
この953人が制度改正を理由に出国したとは限らない。統計から個々の出国理由までは分からない。
2028年にもう一度、数字が動く
2025年10月の改正から約1年。
新規参入への影響は、すでに数字に出た。
外国人による法人設立は52%減。
「経営・管理」の新規申請は96%減。
次に数字を見るべきなのは、現在「経営・管理」で日本にいる4万6781人だ。
増資して事業を続ける人もいる。経営権を移す人、会社を売る人、別の在留資格へ移る人、事業を畳む人も出てくる。
経過措置の区切りは2028年10月16日。
2026年上半期の4731社は、制度変更の最初の結果にすぎない。


