沖縄北部の大型テーマパーク「ジャングリア沖縄」の資金繰りが厳しい局面を迎えている。
NIKKEI Financialは9月15日、ジャングリアについて「10月第1週にも資金が足りなくなるかもしれない」と報じた。閉園や倒産が決まったわけではない。追加融資や増資などで次の資金を確保できるかが焦点になる。
ジャングリアは2025年7月25日に開業した。総事業費は約700億円。このうち366億円を銀行団から調達している。
初年度の実績は約100万人だった。
初年度100万人、後半半年は35万人
運営会社ジャパンエンターテイメントによると、開業1年間の来場者数はスパを含めて約100万人。売上高は100億円を超える見通しだった。
開業半年時点では約65万人だったため、年間100万人から単純に引けば、後半半年の来場者は約35万人になる。
パーク単体の年間来場者数は公表されていない。
加藤健史CEOも1周年時点で、来場者数について「思うような数字に至らない」と説明している。開業前には、年間約300万人が訪れる沖縄美ら海水族館の半分程度、約150万人で採算が見込めるとされていた。
比較すると、よみうりランドの2024年度入場者数は241万7000人だった。
ジャングリアは総事業費約700億円を投じ、初年度100万人。後半半年は単純計算で約35万人だった。
366億円を銀行から借りている
2023年、琉球銀行と商工中金を共同アレンジャーとして、沖縄振興開発金融公庫、沖縄銀行、千葉銀行などが参加する366億円のシンジケートローンが組成された。
ノンリコース型のプロジェクトファイナンスで、ジャングリア事業から生み出すキャッシュフローを前提とした融資だ。
今年に入ってからも追加資金を巡る動きが報じられた。週刊文春は6月、追加融資20億円について報道している。
そこへ今回、「10月第1週にも資金が足りなくなるかもしれない」という報道が出た。
次に金融機関へ示す事業計画では、2年目以降にどれだけ集客できるかが重要になる。
150万人が一つの採算目安
公開されている数字から置ける基準は、年間150万人前後だ。
森岡毅氏は開業前、年間約300万人が訪れる美ら海水族館を基準に、その半分程度で採算が見込めるという考えを示していた。
初年度100万人から150万人なら、前年実績を50万人上回る。前年比50%増になる。
現在は366億円の融資に加え、追加資金も必要になっている。次の事業計画では、採算水準だけでなく、その後の返済まで見据えた数字が求められる。
金融機関が実際に何人を求めているのかは公表されていない。人件費や維持管理費、返済スケジュールなども公開情報だけでは分からない。
そこで一つの試算として、年間180万人を置いてみる。
150万人なら開業前に示された採算の目安。180万人なら前年比80%増。200万人なら初年度の2倍になる。
180万人はジャングリアや銀行が公表した目標ではない。初年度実績と採算目安から考えるための数字だ。
年間180万人なら1日約5600人
ジャングリアは2027年1月から、祝日や繁忙期を除き、原則毎週月曜日を定期メンテナンス日として休業する。
仮に年間320日営業すると、 年間来場者数 1日平均 150万人 約4700人 180万人 約5600人 200万人 約6250人
初年度100万人を365日で単純に割れば、1日平均約2740人。
開業半年で65万人、年間100万人という数字から計算すると、後半半年は1日平均約1900人になる。
年間180万人なら、前年実績を80万人上回る集客が必要になる。
沖縄には1075万人が来ている
沖縄の観光市場そのものは大きい。
2025年の沖縄県への入域観光客数は1075万5800人。統計開始以来の過去最多だった。国内客は約792万人、外国客は約284万人だった。
ジャングリアと同じ沖縄北部には、年間300万人規模の沖縄美ら海水族館もある。
年間180万人なら、2025年の沖縄入域観光客数の約17%に相当する。
新しい観光客を沖縄へ呼び込むだけでなく、すでに沖縄を訪れている1000万人超の旅程にジャングリアをどう入れるかが重要になる。
国内客をどこから取るのか。
インバウンドを何人取るのか。
北部を訪れる観光客をどう取り込むのか。
どの販売経路でチケットを売るのか。
180万人という数字を掲げるなら、そこまで具体化した集客計画が必要になる。
来場者を増やすなら、パーク内の体験も変える必要がある
開業後に改善された部分もある。
2026年には、屋根付きの大型休憩スペースを新設し、無料の日傘を増やしたほか、待機列への大型ミストファンの増設など暑さ対策を強化した。開業後に寄せられた日陰や休憩スペースを求める声を受けた対応だ。
一方、アトラクションの利用方法には別の課題が残る。
ジャングリアには、列に並んで利用するスタンバイ型と、整理券が必要なアトラクションがある。
整理券対象のアトラクションは、1Dayチケットの場合、入園後に公式アプリから抽選に参加する。事前に有料のプレミアムパスを購入すれば整理券を確保できるが、当日抽選に外れれば、そのアトラクションを体験できない。
そのため、せっかくジャングリアまで行っても、希望するアトラクションに乗れない場合がある。
年間150万人、180万人と集客を増やすなら、来場者を呼ぶ施策と同時に、整理券の配分や運行方法など、来た客がパーク内のアトラクションをどこまで体験できるかも改善していく必要がある。
次の融資で問われる数字
ジャングリアの初年度来場者数は約100万人。
総事業費は約700億円。
銀行団によるシンジケートローンは366億円。
開業前には年間150万人前後が採算の一つの目安とされていた。
そして現在、「10月第1週にも資金が足りなくなるかもしれない」と報じられている。
追加融資で資金をつないだとしても、その先には次年度の集客計画が必要になる。
150万人なのか。
180万人なのか。
200万人なのか。
数字を置けば、次の問いも決まる。
その人数を、どこから連れてくるのか。
沖縄には年間1000万人を超える観光客が来ている。北部には年間300万人規模の美ら海水族館もある。
次の資金調達では、その市場から何人をジャングリアに呼び込み、事業を成り立たせるのか。その計画が問われる。


